2022/07/08 18:56
新しい長編を書いている。主人公のキャラクターがいまひとつ定まらず熟考中。もう少し考えたいが、アウトラインはできているので、きっと面白い作品になると思う。今回はなんとか原稿用紙400枚台に納めたい。
昼間からワークをしていたら、午後に安倍元首相の狙撃事件が起きる。ご冥福をお祈りしたい。こういうときのSNSの空気が僕にはキツく、ほぼ日中はネットを見ずにコードを書くことに集中していた。ニュースに対しコメントを最速でボレーするのは僕の仕事ではなく、むしろ無意識下で醸成した言葉を紡ぐのが作家の役割と思うので、少し落ち着いて色々と考えたい。
映画「ブラック・レイン」を見た。初見。お話は色々緩いのだが日本側のキャストが素晴らしく、若山富三郎、高倉健、松田優作と震えるほどの名優が共演している。リドリー・スコットの撮る大阪は完全にブレードランナーの世界で、そういう点でもチャーミングな作品だった。
2022/07/06 00:41
『祝祭の子』の初校ゲラ作業はほぼ終了。500Pくらいある長い小説なのだがギュウギュウと展開を詰め込んだのでスルスル読める小説ではあると思う。市場で活躍してほしいものだが、はてさて。
デビューして以降、国内の新刊小説ばかり読んでおり、なんだかタコが自分の足を食べているような状態になっているなと自覚したので、このところ外文や非ミステリを中心に読んでいる。ジェイムズ・エルロイの『アメリカン・タブロイド』も読んだ。エルロイは若いころに色々と読んでいて、あの簡潔な文体を一時期真似ていたこともあるのだが、今回読んでみると視点人物の内面になかなかカメラが行かないし、どこか神の視点から書いているようなクールさも感じた。文体とは文体だけで屹立しているものではなく、作者がどういう視点から何を語るかと不可分なもので、エルロイはきちんと自らの小説を汲み取ってあの文体を作り上げたのだなと感じた。
藤本タツキさんの『フツーに聞いてくれ』も読む。面白かったのだが「普通に聞く」というのは「普通の人間」みたいなもので、現実世界には存在しない概念だとも思った。