逸木裕のWebSite

過去ログ

2022/03/31 10:33

最近ネット環境がプアな状態が続いていたのだが、ようやく復活したのでまた配信しながらの作業を開始している。0000周りの皆様、よろしくお願いします。

小説推理で連載していた「祝祭の子」が完結。登場人物も要素も多い作品で、最初から長くなる懸念があったのだが、結局原稿用紙1000枚くらいの作品になってしまった。僕はマクリーンやハンター、あるいは船戸与一さんや大沢在昌さん、月村了衛さんなどが書いていた冒険小説・アクション小説のファンで、また総合格闘技がずっと好きで継続的に見ていたため、いずれ自分でもアクションが主体のものを書きたいなと思っていた。ただ男臭いマッチョ世界よりも、どちらかというと人心の機微を描きたいタイプの作家でもあるので、そのへんをどうマージしていこうか考えた結果、少し変わったアクション小説になったと思う。現時点でおかしなところが色々あるので、もうちょっと修正して世に出したい。今年出せるといいのだが、兼業作家だしそこまで時期にはこだわらない。

最近新刊の引き合いが多く、原稿は上がらないのに企画が色々増えている。全くありがたい次第である。最近僕はもっと企画段階から時間をかけて考えて作品を書かねばと思っており、今後難易度の高い作品を色々書いていきたい。少し刊行ペースは落ちるかも知れない。いまでも別に早くはないのだが。

小川一水『天冥の標』第1巻を読んだ。小川さんらしい軽みのある世界ながら起きていることはめちゃくちゃハードで、特に終盤に起きることには驚いた。独裁者がひとりおかしくなっただけで世界はめちゃくちゃになってしまうというプロットや、中盤に出てくる敵艦隊との交戦など、現代の世相とかぶるシーンも多かった。第2巻も早速取り寄せたのだが、単独でも読めるほど全然違う話とのことで楽しみだ。

2022/03/21 22:34

生活がバタバタしていたのだが少しずつ落ち着いている。書いている新しい長編もようやくドライブしてきて、書くのが楽しくなってきた。一気に脱稿したいのだが、もう少しかかりそう。かと思うと改稿依頼がすぐにきてしまう。もっとスピードを上げねばならない。

最近読んだのは田中啓文さんの『辛い飴』。間にジャズの名盤紹介がありつつ、サキソフォンを吹く探偵役がジャズ演奏を繰り広げながら様々な謎を解いていく。日本推理作家協会賞を受賞した「渋い夢」という作品を目当てに読んだのだが、全編いい意味での軽さがありつつ、不可能趣味とジャズの疾走感が両方味わえる短編集でとても面白かった。

少しきっかけがあり、井上雄彦さんの『バガボンド』を読み返している。キャラクターの造形力が素晴らしく、強い人間も弱い人間も等しく魅力的だ。物語は良いキャラクターが出てくるだけで持つものだなと再認識した。

小川一水さんの『天冥の標』を読みはじめた。僕は10代のころ、小川さんが河出智紀名義で書いていた『まずは一報ポプラパレスより』を発売日に買って読んでいる。なぜならこの作品が大賞を取った「ジャンプ小説大賞」に、当時14歳の自分も応募していたからである。そのころから小川さんのことはずっとファンなのだが、『天冥の標』は大作すぎて読むのを敬遠しており、ようやく腰を据えて読もうと思い立った次第。序盤から小川さんらしい芯が強いがいい意味で愛らしいキャラクターたちと、イマジネーションが爆発した世界観が展開されて非常に面白い。少しずつ読んでいきたい。

2022/03/11 18:43

WebサイトのSSLが切れていたので更新した。最近色々と私生活で変化があったが原稿を書く日々。

今村翔吾『じんかん』を読んだ。するするとストーリーが進行していき、このスピード感は自分では色々な意味で書けないなと感じる。何かを語るときに何行で語るのか、これは作家によって様々で、僕はどちらかというと鈍重なほうなのかもしれない。重厚な武将による政治ドラマが繰り広げられる終盤と、どこか少年漫画のような軽やかなテイストがある序盤が違和感なく接合されていて、万華鏡のように読み味が変わる。タイトルも素晴らしい。

辻堂ゆめ『トリカゴ』を読んだ。無戸籍の話については僕も『祝祭の子』という小説を書いていて、井戸まさえさんの『無戸籍の日本人』も読んでいたのだが、フィクショナルな冒険小説として書いた僕と引き換えに、辻堂さんの筆致は丁寧に社会問題をあぶり出していくスタイル。構造的にはミステリではあるものの主眼は無戸籍という社会問題をドキュメンタルにあぶり出していくことであり、社会に問題を投げかける一助となるような誠実な作品だと思った。広く読まれてほしい一冊。

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