2022/01/22 17:52
なぜ日記を書けないのか。以後もうちょっと書いていきたい。
怠けている間に文庫版『電気じかけのクジラは歌う』が発売。Twitterで小島秀夫さんが取り上げてくださって一時期amaonランキングの上位に入っていた。リアル店舗でも売れてほしいのだが、どうなるか。まあ売上はあまりコントロールできないので、粛々と新作を書くのみ。
その新作は現在絶賛改稿中。初稿ではかなりしっかり書けたと思っていたのだが、よくよく考えてみるとおかしな部分が多く、結局かなりの枚数書き直している。小説を書くのは夢を見ているようなもので、書いている最中はそれが正しいと思って書き進めているのだが、冷静になって振り返るとおかしいということが多い。この誤差が少ない人が多作できる作家なのだろう。僕も多作できるようになりたいのだが、後天的に獲得できるスキルなのか謎である。
自分の文章ばかりを読んでいると自家中毒を起こしそうなので、恩田陸さんの『スキマワラシ』を読みはじめている。恩田さんの文章はお手本のひとつ。読みやすくて香りがある。
2022/01/08 10:20
少し気を抜くと日記を書くのをやめてしまう。今年はなるべく全日日記を書いていきたい。
昨日・一昨日は新作のプロット構築。世界観を詰めるのに時間がかかっているが、今日には終わると思う。長編の改稿も待っているためなんとか今日中に終わらせたい。
合間にプログラマー稼業と、転居先の内見へ。あまり知らない街を延々と歩いたのだが、身近なところにこんな住宅街があったのかという気づきがあり、まだまだ知らないことだらけだなと感じた。
リービ英雄『天路』を読む。チベット旅行の随想を中心に、幼いころに住んでいたアメリカでのことや、日本の新宿でのことなどが、場所や時間軸、言語さえも乗り越えて描かれていく。なんというか〈書かれている〉というより〈塗られている〉という感覚を覚える不思議な小説で、第三編の「文字の高原」のラストでは、主人公の思いや発した言葉が、あらゆる壁を乗り越えて天に昇っていくような光景が見えて、震えた。何かを読んで上手く言語化できない感動を覚えたのは久々のことで、驚いた。
一方、最近はAbemaTVで「しくじり先生」をよく見ている。能力の高い芸人さんのやりとりも素晴らしいし、編集のテンポも素晴らしく、見ていて心地がいい。やはり上手く行かない人ってモチベーションのコントロールや休息方法に問題があるのだなと感じた。自戒したい。
2022/01/06 01:04
あけましておめでとうございます。やはり日記を書いていきたいので備忘録として書いていく。
今日は新企画のプロット作成。プロットは考えていると思っていたのと違う方向に伸びていくので、当初イメージしていたものとはだいぶ異なってしまった。明日・明後日にはまとめられそう。その後は今度出る予定の青春ミステリの修正。
ツイッターで我孫子武丸さんから『電気じかけのクジラは歌う』のご感想をいただいた。僕は新本格ミステリを読みだしたのが我孫子さんの『8の殺人』からなので(その前は父の影響で西村京太郎さんや内田康夫さんを読んでいた)、人生の伏線回収という感じである。ご感想の中に以下のようなものがあった。
〈SFを中心として書く人は「まだ存在しない技術」の部分を新しいアイデアの核として物語を組み立てることが多いように思うが、ぼくはどちらかというと「既に存在する技術で、それが進化したとき社会がどう変わるかを想像する」方に興味がある〉
これは僕も問題意識として持っていたことで、僕は近未来を描いてもSF作家の皆さんのように発想がジャンプせず、現代との地続きである点を探ってしまう。そうしないと作品世界を信じられず、書いていて自分で納得できないからなのだが、突飛な発想を作品内に取り込めないもどかしさも感じていた。今回こういうご感想をいただけて、自分のアプローチを受け入れてくださるかたもいるのだなと感じ、少し芯が安定した感じがした。ありがとうございました。
最近は集中時間をいかに長くするかが課題となっている。かつてゴータマ・シッダールタは菩提樹の下で悟りを開いたとき、煩悩を追い払うために印を結んでいたらしく、今日は集中がぶれそうになったところで印を結んだら長く集中できた。頭を使い切ったときの快感が好きなので、こういう時間を増やしていきたい。
読書は一穂ミチさんの『スモールワールズ』をようやく読んだ。どれも面白かったのだが、特に「愛を適量」という作品が好みだった。相手を喜ばせようと思ってやっていることが、実は単なる自己満足だったというのは僕にも覚えがあることで、身近なテーマをこういう形で現代的なエンターテイメントに昇華する力量に驚いた。重層的で素晴らしい小説。