2023/07/27 23:51
日曜日に小川哲さんとのトークイベントがあった。現代のエンタテイメント作家みんなそうかもしれないが、小川さんは尊敬している作家で、最初に対談が決まったときはびびっていたのだが、大変優しいかたで不慣れな僕をリードしてくれて当日は楽しく話すことができた。個人的には『君のクイズ』のミステリとしてのあまりにもスマートな構成に感動したことがあり、どこからこんな話を思いついたのかを伺うことができて貴重な体験であった。
面白かったのが「SFミステリ」を巡る話で、小川さんは「SFミステリ」と「特殊設定ミステリ(SFの設定を使ったミステリ)」を区別して考えてらっしゃるようだった。要するにミステリとしての謎が、そのままSF的な問いになっているのが本物の「SFミステリ」で、多くのSFミステリと言われているものは、単に変速的なルールを持ち込んだだけの謎解き小説であると。前者の実例としてロバート・J・ソウヤーの『ゴールデン・フリース』と『ターミナル・エクスペリメント』を推薦していただいたので、早速購入した。どちらも面白そう。
2023/07/27 23:43
久しぶりの日記。この間に『世界の終わりのためのミステリ』が出版され、長編の原稿と短編の原稿をひとつずつ書いた。今年は年末に向けてもう一本長編と短編を書く予定。
長編に関してはもっとじっくりと書きたい思いが強くなっており、少し刊行ペースが開くかもしれない。年二冊を目標に刊行してきたのだが、もう少しひとつの密度を上げていきたい思いがある。あるいは密度の濃いものの合間に、さらっと読めてかつ面白い作品を逐次投入していくか。まあ色々やっていくしかない。
最近はドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を久々に読んでいる。上巻のラスト、「神の沈黙」をめぐるイワンとアリョーシャの問答が圧巻で、あまり好きな映画ではないのだが『ダークナイト』のジョーカーを思い出した。「神の沈黙」は現代エンタメでもしばしば取り上げられるモチーフで、世界はこんなにもクソなのになぜ神は沈黙しているのかという件である。この問いに対して「そんなら神様を作りゃええやん」という結末に言ってしまうノーランの万能感はいろいろ危ういものがあり、『オッペンハイマー』は大丈夫かいなと要らない心配をしてしまった。
2023/02/23 12:50
3日前からTwitterにログインできない問題が発生しており、宣伝活動などができずに困っている。二段階認証などを設定するべきではなかったな。サポートに問い合わせても梨の礫なので、このままアカウントは破棄することになるやもしれない。困ったなー。
引き続き連作短編集の改稿。合間に企画書を一本送付した。
2023/02/21 14:27
2段階認証で謎の問題が発生し、Twitterへのログインができなくなってしまった。新刊が出た日にこれは困るな。弱り目に祟り目である。
2023/02/21 13:49
今日もいまひとつ体調が向上しない。午前中は取材、午後から仕事。
2023/02/21 00:24
最近は体調も悪いしモチベーションもいまひとつ上がらず。まあプロなので低調でも一定の品質のアウトプットはしなければならないのだが。
2023/02/20 22:42
澤村伊智『怪談小説という名の小説怪談』を読む。僕はホラーを読むセンスはあまりないのだが、澤村さんの作品は門外漢が読んでも怖いからすごい。本作はノンシリーズの短編集だが、正統派の怪談あり、世界を反転させることで恐怖を現出させるものあり、ショートエピソードを羅列することで怪異を演出するものもあり、あらゆる手法で読者を楽しませ怖がらせようとするフルコースのような作品。特に好きだったのは「こうとげい」。
ジョン・アーヴィングの『ガープの世界』も読んでいる。こっちは序盤からシモネタばかりであまり合わない感じ。。。
2023/02/03 18:42
現在音楽をテーマにした長編を改稿しており、昨日はヴァイオリニストのかたに取材。大学オーケストラの後輩ではあるのだがプロとして活躍している奏者で、とても面白かった。僕はホルンという楽器をもう30年近く演奏しているのだが、アマチュアとは見えている世界があまりにも違いすぎて勉強になった。
現在はミステリ連作短編を書いている。要素が多い作品でなかなか難しい。
ネットはツイッターの凍結祭りが起きており、僕の先生である鈴木輝一郎先生も凍結されてしまった。外部連携ツールを使っているアカウントから機械的に凍結しているようなのだが、その割にパクツイアカウントや闇バイト募集は野放し状態で、ツイッター社が何をやりたいのかよく判らない。かつての2chやmixiが没落したときにもこんな感じの空気が漂っていて、盤石ではないなと感じる。
ルネ・クレマンの『太陽がいっぱい』を半分まで見た。20年ぶりくらいの再見で、冒頭、ボートに乗るまでのシークエンスとかは完全に忘れていた。ラストのどんでん返しが有名だがプロットの起伏で見せる作品ではなく、銀幕から汗ばむような暑さが漂ってくる心理劇が主眼。アラン・ドロンはこれ以上ないくらいの適役だな。
2023/02/02 11:18
年明けしてから一度も更新していなかった。あけましておめでとうございます。
年始から企画をいくつかやりつつ長編の執筆中。ほぼ書き終わったのだが、書き終わってなお全体像が把握できておらず困っている。まあやるしかないのだが。
先月から我が家に新たに家族(猫)が増え、受け入れをしているせいで家からあまり外に出られず。うちには先住猫がいるので、彼とのマッチングをどうしていくかを慎重に検討している。生後半年のメス猫なのだが、先住のオス猫とは全く性格が異なり、同じ生物かと思うくらいである。上手くひとつにまとまってくれるといいのだが。
一月はあまり本が読めていないのだが、芦沢央『夜の道標』、小川哲『地図と拳』あたりの去年の話題作をようやく読めた。
『夜の道標』は大変すぐれた群像劇で、あまりにも面白かったので一日で読んだ。特に終盤、ある人物が慟哭する一文に震えた。とある作家さんと『夜の道標』の話になったとき、全く同じ一文が心に刺さったと言っていたので、あの言葉を掬い取った芦沢さんに深い尊敬を覚えた。
『地図と拳』は前評判通りの面白さで、『君のクイズ』のモダンな文体とは異なり重厚な歴史小説といった趣。それでいて単に史実をなぞるだけではなく、史実の上に巨大で緻密な虚構の街を建てている。読みやすくキャラクターも立っていて、ラストのシークエンスも素晴らしかった。
今日は午後から取材です。同世代(少し年下)の作家が優れた達成をしているので、自分も頑張らなければならない。
2022/12/24 12:46
クリスマスイブも仕事仕事。まあこれは作家業をはじめる前、フリーランスのプログラマーをやりまくっていたころからの常なので通常営業という感じ。夜は脱出ゲームに行きます。
Twitterの運用にひとまずケリをつけてから、その後は一度もログインしていない。Twitterは読者のかたと交流できたり、作家の皆さんとゆるくつながることができたりと良いこともあるのだが、一方で疲れることのほうがはるかに多いので今後はたぶん宣伝以外はほぼ更新しないと思う。宣伝といっても、コンバージョンにつながるレベルの宣伝効果はほとんどないであろう。代わりに読者の皆さんと交流するためのツールを用意する予定で、これは体制を整えてからやりたいと思います。
連城三紀彦「私の叔父さん」を読む。小説技巧としては凄まじいものがあるのだが、やはり書かれている男女の機微が大変キツいもので、心底気持ち悪いなと思いつつ読み終えた。連城さんの遊郭ものは本当に好きなのだが、「恋文」「私の叔父さん」などで書かれている性愛の形は、遊郭のようなフィクショナルな装置を通して読むことで脱臭できるものであって、向田邦子的なドラマの中に放り込まれても凄まじいエグみにしかなりませんがなと感じた。でもまあこれは直木賞も取っている立派な作品なので、僕の読みかたがおかしいのだろう。