2023/07/27 23:51
日曜日に小川哲さんとのトークイベントがあった。現代のエンタテイメント作家みんなそうかもしれないが、小川さんは尊敬している作家で、最初に対談が決まったときはびびっていたのだが、大変優しいかたで不慣れな僕をリードしてくれて当日は楽しく話すことができた。個人的には『君のクイズ』のミステリとしてのあまりにもスマートな構成に感動したことがあり、どこからこんな話を思いついたのかを伺うことができて貴重な体験であった。
面白かったのが「SFミステリ」を巡る話で、小川さんは「SFミステリ」と「特殊設定ミステリ(SFの設定を使ったミステリ)」を区別して考えてらっしゃるようだった。要するにミステリとしての謎が、そのままSF的な問いになっているのが本物の「SFミステリ」で、多くのSFミステリと言われているものは、単に変速的なルールを持ち込んだだけの謎解き小説であると。前者の実例としてロバート・J・ソウヤーの『ゴールデン・フリース』と『ターミナル・エクスペリメント』を推薦していただいたので、早速購入した。どちらも面白そう。
2023/07/27 23:43
久しぶりの日記。この間に『世界の終わりのためのミステリ』が出版され、長編の原稿と短編の原稿をひとつずつ書いた。今年は年末に向けてもう一本長編と短編を書く予定。
長編に関してはもっとじっくりと書きたい思いが強くなっており、少し刊行ペースが開くかもしれない。年二冊を目標に刊行してきたのだが、もう少しひとつの密度を上げていきたい思いがある。あるいは密度の濃いものの合間に、さらっと読めてかつ面白い作品を逐次投入していくか。まあ色々やっていくしかない。
最近はドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を久々に読んでいる。上巻のラスト、「神の沈黙」をめぐるイワンとアリョーシャの問答が圧巻で、あまり好きな映画ではないのだが『ダークナイト』のジョーカーを思い出した。「神の沈黙」は現代エンタメでもしばしば取り上げられるモチーフで、世界はこんなにもクソなのになぜ神は沈黙しているのかという件である。この問いに対して「そんなら神様を作りゃええやん」という結末に言ってしまうノーランの万能感はいろいろ危ういものがあり、『オッペンハイマー』は大丈夫かいなと要らない心配をしてしまった。
2023/02/23 12:50
3日前からTwitterにログインできない問題が発生しており、宣伝活動などができずに困っている。二段階認証などを設定するべきではなかったな。サポートに問い合わせても梨の礫なので、このままアカウントは破棄することになるやもしれない。困ったなー。
引き続き連作短編集の改稿。合間に企画書を一本送付した。
2023/02/21 14:27
2段階認証で謎の問題が発生し、Twitterへのログインができなくなってしまった。新刊が出た日にこれは困るな。弱り目に祟り目である。
2023/02/21 13:49
今日もいまひとつ体調が向上しない。午前中は取材、午後から仕事。
2023/02/21 00:24
最近は体調も悪いしモチベーションもいまひとつ上がらず。まあプロなので低調でも一定の品質のアウトプットはしなければならないのだが。
2023/02/20 22:42
澤村伊智『怪談小説という名の小説怪談』を読む。僕はホラーを読むセンスはあまりないのだが、澤村さんの作品は門外漢が読んでも怖いからすごい。本作はノンシリーズの短編集だが、正統派の怪談あり、世界を反転させることで恐怖を現出させるものあり、ショートエピソードを羅列することで怪異を演出するものもあり、あらゆる手法で読者を楽しませ怖がらせようとするフルコースのような作品。特に好きだったのは「こうとげい」。
ジョン・アーヴィングの『ガープの世界』も読んでいる。こっちは序盤からシモネタばかりであまり合わない感じ。。。
2023/02/03 18:42
現在音楽をテーマにした長編を改稿しており、昨日はヴァイオリニストのかたに取材。大学オーケストラの後輩ではあるのだがプロとして活躍している奏者で、とても面白かった。僕はホルンという楽器をもう30年近く演奏しているのだが、アマチュアとは見えている世界があまりにも違いすぎて勉強になった。
現在はミステリ連作短編を書いている。要素が多い作品でなかなか難しい。
ネットはツイッターの凍結祭りが起きており、僕の先生である鈴木輝一郎先生も凍結されてしまった。外部連携ツールを使っているアカウントから機械的に凍結しているようなのだが、その割にパクツイアカウントや闇バイト募集は野放し状態で、ツイッター社が何をやりたいのかよく判らない。かつての2chやmixiが没落したときにもこんな感じの空気が漂っていて、盤石ではないなと感じる。
ルネ・クレマンの『太陽がいっぱい』を半分まで見た。20年ぶりくらいの再見で、冒頭、ボートに乗るまでのシークエンスとかは完全に忘れていた。ラストのどんでん返しが有名だがプロットの起伏で見せる作品ではなく、銀幕から汗ばむような暑さが漂ってくる心理劇が主眼。アラン・ドロンはこれ以上ないくらいの適役だな。
2023/02/02 11:18
年明けしてから一度も更新していなかった。あけましておめでとうございます。
年始から企画をいくつかやりつつ長編の執筆中。ほぼ書き終わったのだが、書き終わってなお全体像が把握できておらず困っている。まあやるしかないのだが。
先月から我が家に新たに家族(猫)が増え、受け入れをしているせいで家からあまり外に出られず。うちには先住猫がいるので、彼とのマッチングをどうしていくかを慎重に検討している。生後半年のメス猫なのだが、先住のオス猫とは全く性格が異なり、同じ生物かと思うくらいである。上手くひとつにまとまってくれるといいのだが。
一月はあまり本が読めていないのだが、芦沢央『夜の道標』、小川哲『地図と拳』あたりの去年の話題作をようやく読めた。
『夜の道標』は大変すぐれた群像劇で、あまりにも面白かったので一日で読んだ。特に終盤、ある人物が慟哭する一文に震えた。とある作家さんと『夜の道標』の話になったとき、全く同じ一文が心に刺さったと言っていたので、あの言葉を掬い取った芦沢さんに深い尊敬を覚えた。
『地図と拳』は前評判通りの面白さで、『君のクイズ』のモダンな文体とは異なり重厚な歴史小説といった趣。それでいて単に史実をなぞるだけではなく、史実の上に巨大で緻密な虚構の街を建てている。読みやすくキャラクターも立っていて、ラストのシークエンスも素晴らしかった。
今日は午後から取材です。同世代(少し年下)の作家が優れた達成をしているので、自分も頑張らなければならない。
2022/12/24 12:46
クリスマスイブも仕事仕事。まあこれは作家業をはじめる前、フリーランスのプログラマーをやりまくっていたころからの常なので通常営業という感じ。夜は脱出ゲームに行きます。
Twitterの運用にひとまずケリをつけてから、その後は一度もログインしていない。Twitterは読者のかたと交流できたり、作家の皆さんとゆるくつながることができたりと良いこともあるのだが、一方で疲れることのほうがはるかに多いので今後はたぶん宣伝以外はほぼ更新しないと思う。宣伝といっても、コンバージョンにつながるレベルの宣伝効果はほとんどないであろう。代わりに読者の皆さんと交流するためのツールを用意する予定で、これは体制を整えてからやりたいと思います。
連城三紀彦「私の叔父さん」を読む。小説技巧としては凄まじいものがあるのだが、やはり書かれている男女の機微が大変キツいもので、心底気持ち悪いなと思いつつ読み終えた。連城さんの遊郭ものは本当に好きなのだが、「恋文」「私の叔父さん」などで書かれている性愛の形は、遊郭のようなフィクショナルな装置を通して読むことで脱臭できるものであって、向田邦子的なドラマの中に放り込まれても凄まじいエグみにしかなりませんがなと感じた。でもまあこれは直木賞も取っている立派な作品なので、僕の読みかたがおかしいのだろう。
2022/12/23 18:01
今年は全く仕事が収まっていないので年末どころではない。兼業作家の難しいところである。
連城三紀彦『紅き唇』を読んだ。『恋文』に引き続き少し変わった情愛が描かれるのだが、連城さんが書くと筆致が重いというか、ズドンと食らってしまう感がある。こういうの向田邦子とかだといいバランスで読ませてくれるのだが。とはいえ世評の高い作品なので、僕の受け止めの問題が大きいのだろう。
2022/12/23 00:38
プロットを書きつつ次作の初稿執筆。このところプロッター稼業をやっていたので小説を書くのは久しぶり。やはり言葉で世界を作り上げていく作業は楽しい。
連城三紀彦『恋文』初読。世評の高い作品であるものの、僕には出てくる登場人物がキツくてつらかった。この辺は時代背景もあるかもしれない。
2022/12/20 11:35
連作短編集のプロット練りは終わったので今日から初稿。僕は書いているとプロットから本文がずれてしまうため、一時期はプロットを作らずにいきなり執筆をしていたのだが、最近はマジメに作るようになった。確かに原稿を書き出さないと見えてこない部分も多いのだが、プロットを作っておいて多角的に準備をしておかないと事故る可能性も高いと判ったので。プロット通りはどうやっても書けないのだが、プロットを作り作品と向き合う時間に意味はあるのだ。
貫井徳郎さんの『乱反射』を読む(以下ネタバレあります)。
文庫で600Pと長い作品で、文字組みもぎっしり詰まっているのだが、色々な事態が発生してリーダビリティ抜群な上に文章がすらすらと読めるため全く長さを感じさせない。〈現実に起こる悲劇的な出来事は、特定の悪人の特異な悪意からではなく、多くの人の心に遍在している些細な偏り、面倒臭さ、ストレス、体力低下、睡眠不足、不作為などの集積によって生じるのではないか〉ーーというのは僕も常々感じていることで、実作でも書いてきたのだが、この作品ではそれを中心に据えている。リアルなテーマをリアルなトーンで描いているものの、それがフィクショナルな本格ミステリの変装にもなっているという広い構えの作品で、様々な確度から読める。大勢登場するキャラクターが全員実在感を持って描きこまれていて、群像劇を最後まで支え続けているのもすごい。不毛と判りつつも些細な罪を追求することがやめられない主人公が、自らも罪人であることを自覚したところで逆説的に解放がもたらされる、その結末が痛ましい。
2022/12/16 17:19
来年出る連作短編集のプロット練り。最近プロットばかり作っているので結構疲弊している。まあやっていくしかない。
2022/12/15 17:54
最近色々と環境整備した結果、Twitterにはほぼログインできない環境を構築することに成功した。Twitterを見ているとメンタルが削られる上に時間が取られるため、当面は低更新で行きたいところ。
推理作家協会から会報が送られてきたのだが、伊与原新さんの入会のご挨拶が大変良かった。
http://www.mystery.or.jp/magazine/article/895
「あきらめずに書いていれば、いつか日の目を見るよ」という綾辻先生のお言葉、僕ももう何度も「こりゃダメだな」と思う局面があったので、自分も胸に刻んで頑張りたい。また伊与原新さんの第二作「プチ・プロスフェール」、これ私大好きな作品なので、ぜひ続編を期待したい。唯一無二の理系少女ミステリであり、伊与原さん以外には書けない内容なのだ。
本日はポプラ社へエッセイの原稿送付。来年出る連作短編のプロット練り。
2022/11/24 17:35
最近はひたすら資料読みの毎日。資料読みは一冊本を読んでも使える情報などわずかであり、その分のアウトプットが減るので不安になってくるのだが、これをやらないと作品のクオリティが上がらないので、腹をくくってやる必要がある。週内には短編のプロットを一本あげたい。
多島斗志之『密約幻書』を読む。ハリウッド映画を見ているようなテンポのよいポリティカル・サスペンス。冒頭の日露戦争のシークエンスがとても良い。人間ドラマはやや薄味。
2022/11/10 00:06
先日は日本推理作家協会賞の授賞式であった。作家業は普段は地味の極みで、脳内とパソコンで完結してしまい、読んだ観客の声も直接的には聞こえないのでついつい日々の作業が何につながっているのか見失ってしまうのだが、このようなセレモニーに出るときちんと現実とリンクしているのだなと実感させられた。隅々まで行き届いた立派な式典で、僕はアマオケで結構活動していた時期があるため、これを準備するためにどれほどの労力が費やされたのかを考えると頭が下がる思いだった。ありがとうございました。
以前として体調が悪く、久々に3kmほど走ったら多少マシになった。その他もろもろも不調ではあるのだが、まあやっていくしかない。ホント不調がデフォルトになってきてしまったな。
2022/10/24 00:08
短編を一本書き上げて送付。9、10月は本当に忙しくて大変だったのだが、これでようやく通常営業に戻れる感じ。
最近読んだ本では小川哲『君のクイズ』が面白かった。最初に謎が提示され、それを主人公が解いていくというミステリ構造を用いて書かれた作品なのだが、この謎を解いていく過程が、主人公の人生そのものと密接にリンクしていて、文芸としての面白さにも寄与しているあたりに感嘆した。ミステリを書く際に、謎を解いていく情報操作のセクションと、主人公たちの人生そのものを描く文芸的なセクションは分離しやすいのだが、ここをこれほどスマートに不可分に描けるとは本当に高度な達成だと思う。結末も文句なし。
2022/10/06 17:19
短編の改稿を終えたので送付。月末に向けてもう一本短編を書く。このひと月は完全にオーバーワークで身体もボロボロなので、少しペースを落としてまた次の本の準備をしたい。次の大きな締切は一月。
2022/10/05 23:01
長編は仕上がったので送付。まだ煮詰めきれていないのだが、これ以上手元で時間をかけるよりは一度編集さんに読んでいただこうと判断した。今日は短編の改稿をして送る。月末にももう一本、短編の締切がある。皆様ご発注ありがとうございます。
津原泰水さんが亡くなった。僕は作家活動に対し、芸術家・職人・商売人という三つの点で結ばれた三角形を行ったりきたりしながら作品を書いているイメージがあるのだが、津原さんはかなり芸術家よりのエンターテイメント作家だったと思う。作風の幅も異様に広く、僕が敬愛している作家の中では多島斗志之さんと津原さんは多彩さという点では双璧であった。58歳、若すぎる。多島さんも最後は早すぎる失踪を遂げており、尊敬している作家を喪うのはつらい。ご冥福をお祈りします。
2022/10/04 22:14
長編の改稿ツメツメ。もう少しで仕上がる。
夢や希望やモチベーションがなくとも、意地があれば仕事は続けられるかもなと最近感じている。あとは人ですね。この人のためにというのがあるからまだ当面は続けられるかな。
2022/10/02 23:12
原稿仕事をひと通り終えて本日は野球を見ていた。球史に残るであろうパ・リーグ決戦10.2は、僕が野球を見始めてから30年くらいで最も劇的な出来事のひとつだった。選手の皆様お疲れさまでした。「事実は小説より奇なり」という言葉があまり好きではなく、事実より奇なる小説などいくらでも書けるわと思う一方、その奇にリアリティを与えて読者を引き込むのが難しいんだよなとも思った。
2022/10/02 11:08
長編の改稿はあと三日で上がりそう。お待たせしてしまい申し訳ない(毎日謝罪している)。アウトプットをしているとそちらに集中してしまいなかなかほかのことができない。
2022/10/01 11:48
長編はあと4日で上がる。大変おまたせしてしまい申し訳ない。
最近またミステリを書く難しさに悩み苦しんでいる。ミステリの範囲はいまや広いが「謎を提示して、それを追っていくことでストーリーラインが成立している物語」と僕は定義している。謎を提示して、読者が登場人物とともに解いていく構造は強固でリーダビリティを生みやすいのだが、実はドラマとしての美味しさは謎を提示する側・犯人の側にあることが多いため、工夫をしないと竜頭蛇尾に終わりがち、あるいは読者をびっくりさせて終わりがちな構造とも言える。
まあかように難しく、もうミステリ構造ではない普通の小説を書きてえなあとも思うのだが、一方でミステリ構造を使わせてもらうことで間違いなく得をしている部分もあるわけで、まあやはり書ける最良のものを書いていくしかないなと。もうアマチュア時代も含めると8年もミステリを書いているためそれなりに技術も蓄積されており、一般文芸の世界でシノギを削っている人々に対抗するためには、ミステリと文芸が止揚した突端で生まれるような作品を目指していくしかないのかもなとも思っている。まあ創作は難しく、毎回試行錯誤トッドハンターである。こんなことをやっている作家についてきてくれる読者には感謝しかない。いつもありがとうございます。
2022/09/30 23:10
長編の改稿はようやく目処が経ち、あと4日ほどで終わりそう。最近は作品が肥大化傾向にあったので、今回はタイトにまとめようと試みたのだが書いているうちにタイトすぎないか心配になってしまい、結局書くのは大変だった。まあ慣れていくしかない。
深町秋生さんの『天国の修羅たち』を読んでいる。僕はヘルドッグスシリーズの大ファンで『地獄の犬たち』も『煉獄の獅子たち』も熱狂して読んだのだが、完結編の本作は極端に枚数が薄い。このへんも何か企みがあるのではないかと読み進めている。序盤からディティールがみちみちに書き込まれていて読ませる。面白い。
2022/09/29 10:49
最近みどりシリーズの短編を書いていたのだがOKが出たので、近いうちに雑誌に載るはず。この5年くらい毎年一本はみどりの短編を書いていて、最初に彼女のことを書いたときはこんな長い付き合いになるとは思っていなかったので数奇なものである。とはいえみどりは『星空の16進数』『ゴーストの雫』で二度己の抱える問題を解消していて、子供も持ったのである程度の社会化が終わっている段階となり、安定した世界を持った彼女に対しこのあとどうドラマを作っていくか思案のしどころであろう。ロス・マクドナルドのように探偵は単なる装置にして、主に犯人側の物語によって小説空間を埋めることはできるのだが、それをするには僕はみどりの私生活を書きすぎてしまった。まあでも視点人物の内面にカメラを向けがちな僕にロス・マクドナルドのようなものが書けるとも思えず、結局作家は書けるものを書くしかないのだ。
降田天さん『事件は終わった』を読んでいる。文章と会話が素晴らしく、作品世界にシームレスに没入できる。通り魔事件の関係者のその後を描くというコンセプトも面白く、リアリズムドラマかと思いきやいきなりジャンルを越えたりもするのでこのあたりのバランスも面白い。
今日は長編の改稿をやる。お待たせしてしまって本当に申し訳ありません。
2022/09/27 10:02
忙しい上に色々とあり体調が悪い。どうしたものか
2022/09/14 14:54
長編の改稿は半分ほどが終わり、あと7日程度で行けるかという感じ。短編の初稿も半分かけたので、月曜日くらいまでに書き終えて改稿。最近一日でも作業が滞るとまずいので綱渡り状態である。小説も読めず。
そんな中スプラトゥーン3を買ったのだがまだできていない。10月末までこんな感じのようなので頑張りたいところだ。
2022/09/02 16:46
書き上がった長編の改稿作業。ワーッと書いた初稿をプロットに分解して、そのプロットを俯瞰してエピソードの取捨選択、加筆、削除などをやっていく。感覚的でもあり論理的でもある作業という感じ。見積もったところ17日くらいで終わりそう。
昨日は短編の企画を提出。これは10/10までに完成稿をあげなければならないのでかなり大変。10/末くらいまではかなりビジーになりそうで気が重い。
小田雅久仁『残月記』を読みはじめる。比喩表現が素晴らしく、言葉によってオリジナルな世界を立ち上げていくすごい筆力。まだ序盤なのだが、ファミレスで月が回転するシーンなど息を飲むほどの迫力だった。
2022/09/01 19:40
ここ2ヶ月くらいは新たなる長編を書いていたのだがなんとか初稿を書き終えた。改稿して編集者に出す。今年はあと短編が2つ出る予定。書ければ……。
昨日は休暇を取りのんびりとしていた。夜は武道館にラップバトルの祭典「BATTLE SUMMIT」を見に行く。ラップバトルはどれも面白かった。劈頭ではAwichがシークレットゲストとして登場し、queendomをはじめ5曲ほどやってくれたのだが、これが本当に素晴らしくて感動した。良い休暇でした。
2022/07/08 18:56
新しい長編を書いている。主人公のキャラクターがいまひとつ定まらず熟考中。もう少し考えたいが、アウトラインはできているので、きっと面白い作品になると思う。今回はなんとか原稿用紙400枚台に納めたい。
昼間からワークをしていたら、午後に安倍元首相の狙撃事件が起きる。ご冥福をお祈りしたい。こういうときのSNSの空気が僕にはキツく、ほぼ日中はネットを見ずにコードを書くことに集中していた。ニュースに対しコメントを最速でボレーするのは僕の仕事ではなく、むしろ無意識下で醸成した言葉を紡ぐのが作家の役割と思うので、少し落ち着いて色々と考えたい。
映画「ブラック・レイン」を見た。初見。お話は色々緩いのだが日本側のキャストが素晴らしく、若山富三郎、高倉健、松田優作と震えるほどの名優が共演している。リドリー・スコットの撮る大阪は完全にブレードランナーの世界で、そういう点でもチャーミングな作品だった。
2022/07/06 00:41
『祝祭の子』の初校ゲラ作業はほぼ終了。500Pくらいある長い小説なのだがギュウギュウと展開を詰め込んだのでスルスル読める小説ではあると思う。市場で活躍してほしいものだが、はてさて。
デビューして以降、国内の新刊小説ばかり読んでおり、なんだかタコが自分の足を食べているような状態になっているなと自覚したので、このところ外文や非ミステリを中心に読んでいる。ジェイムズ・エルロイの『アメリカン・タブロイド』も読んだ。エルロイは若いころに色々と読んでいて、あの簡潔な文体を一時期真似ていたこともあるのだが、今回読んでみると視点人物の内面になかなかカメラが行かないし、どこか神の視点から書いているようなクールさも感じた。文体とは文体だけで屹立しているものではなく、作者がどういう視点から何を語るかと不可分なもので、エルロイはきちんと自らの小説を汲み取ってあの文体を作り上げたのだなと感じた。
藤本タツキさんの『フツーに聞いてくれ』も読む。面白かったのだが「普通に聞く」というのは「普通の人間」みたいなもので、現実世界には存在しない概念だとも思った。
2022/06/17 23:08
以前から僕は分析的に小説を読むのが好きだったのだが、最近この傾向が加速しすぎているのか、ここ三ヶ月ほど、小説を読んで素直に面白いと思えることがほとんどなくなってきてしまっている。ちょっとまずいというか、これは雪山で遭難しているようなもので、この傾向が続くと本格的に危険である。このところ忙しすぎて本当に参っていて、精神的に立て直したいところ。体調も依然としてよくない。
2022/06/14 00:10
引き続き新作の初稿。
2022/06/12 23:17
本日は家族の会食があり箱根の湯本富士屋ホテルへ。ホスピタリティが高く料理も美味しく、大変良かった。天気は快晴で、6月の晴れ間は大変気持ちが良い。あじさいも咲いており綺麗だった。合間に某作品の初稿を進める。今日書き終わるので、明日から改稿。初稿はやはりおかしなところが多く、直さないと原稿にならないのは判っているのだが、あまりにも書き飛ばしすぎると〈おかしな初稿〉にすらならないので、改稿できる程度の水準のものに収めるのが毎回難しい。バランス感覚が求められる。
馳星周さんの『月の王』を読んでいる。フィクショナルな作品だと思っていたのだがかなり伝奇小説よりの作品で少し驚きつつ読んでいる。端的で硬質な文章が素晴らしく、そっけない描写も多いのだがその集積によりイメージを描く。本当に上手い。
最近は思うところがあり、Twitterをもうやめようかと思っている。ここでの更新をTwitterにダイジェスト的に流せないか、少し試してみようかと思う。
2022/06/11 01:31
最近インボイス制度のことを考えているとどうも気持ちが落ち込んでしまう。僕は会社もやっており普通に消費税も払っているのでそこまで影響はないのだが、本来負担を軽減して大きく育てる時期のクリエイターや個人商店、マイクロビジネスなどが、課税事業者になることでそれなりに消えてしまうだろう。種籾を食ってどうすると思うのだが、ただクリエイターたちが消えるにせよそれは定量的に計測できる指標ではないので、どうなっても誰も責任を取らないだろう。先日書いた〈構造〉というやつである。気持ちが落ち込むのは〈構造〉が今後の社会をどういう方向に進めていくのかということだ(こうやって書くと陰謀論者の怪文書っぽいが……)。
2022/06/10 14:46
体調は割とよくなり、また原稿を書いている。最近は千葉雅也さんに影響され、WorkFlowyというアウトライナーを執筆に取り入れた。これにより書きかたも変化し、15分ほどアウトライナーを書く→45分ほど原稿を書く(原稿用紙4枚くらい)というサイクルで書いている。これで書くペースが安定するか様子見。
月村了衛さんの『機龍警察 白骨街道』をようやく読んだ。冒険小説としての密度とテンションは相変わらず凄まじいのだが、何よりもすごいのは、作中に出てくる敵が単なるテロリストやらなんやらを超えて、ほとんど人間が社会を構成する以上否応なく生まれてしまう〈構造〉みたいなものにまで深化している点だ。こういうものを描いた作品として、例えば山崎豊子の『沈まぬ太陽』やら、コーマック・マッカーシーの『悪の法則』やら、佐藤究さんの『テスカトリポカ』やらがあると思っているのだが、これらの作品は〈構造〉に敗北する話、もしくは〈構造〉の内部者の視点からその瓦解を描く話であって、〈構造〉と真正面から戦い勝利を収める物語は成立しうるのか、そういった面でのスリリングさもある。あと何巻続くのか判らないのだが、絶対に完結まで読みたいシリーズだなと改めて感じた。
昨日は作家仲間の皆さんとコロナ禍以降、初の飲み会。やはり同業者の皆様、諸先輩の皆様の話を聞くのは面白い。今年はパーティーも復活するかも? という機運が各所で高まっているようなので、また皆さんの顔がみたいな。
2022/06/06 12:55
引き続きあまり体調がよろしくない。天候の変動が激しいせいもあるのかもしれない。やることも多くパンク気味なので、体調管理に努めたいところ。
2022/05/27 11:09
日本推理作家協会からくだんの選考会の選評が届いたので拝読。やはりなかなか全員一致での受賞は難しく、今回受賞できたのは選考委員の皆様との相性がよかったこともあったのだろうなと感じた。
6年前の横溝正史ミステリ大賞も同様で、あのときも僕の作品に対する評価が割れていたため、選考されるかたの顔ぶれが違っていたら僕はデビューできておらず、いまごろプログラマー一本で活動していたかもしれない……とは折に触れて感じる(投稿活動は30代までと決めていた)。それは逆に言うと、僕が超絶ベストセラーを産むはずだった大天才を潰してしまった可能性もあるということだ。小説ないしアートやエンタメの評価には偶発性が絡むものであって、受賞者は少なからず偶発的に発生した受賞という事態を、「あいつに賞をやって正しかった」という評価へと事後的に変えていく責務があると思う。今後ますます頑張っていきたい。
2022/05/26 15:41
新しい長編の原稿を編集者へ送付。さてどうなるか。
このところ体調を崩していて、締切をなんとかクリアできてヘトヘト状態である。引っ越しをしてから定期的な運動習慣の形成に失敗していることと、単にタスクが多すぎて多忙なことが大きい。タスクは原稿をあげたことで一旦大きめのものがなくなったので再整備しつつ、ジムなどの運動環境を整えたい。なんだかんだと仕事が長続きするには体力と対人関係調整能力が大きく、40代を迎えてあと10年20年と働くために自分を見直したいところ。健康診断にも行きます。
最近は締切に追われ読書ができていなかったので、日曜日くらいまではアウトプットは止めて読書期間としたい。積読になっている読みたい本を、10冊くらいは消化したいところ。読むぞ読むぞ。
2022/05/23 16:30
体調不良です。諸々滞っておりすみません
2022/05/22 18:28
どうもオーバーワーク気味で体調が悪い。山を超えたら少し休みたいが。
2022/05/20 10:23
『風を彩る怪物』のゲラ作業を終えたので、次は止まっていた『祝祭の子』の改稿作業に着手。連載時に一度大改稿をして、その後文章の調整などをかなりやっているのでだいぶ仕上がってはいるのだが、根本の設定に難がある作品でもあり、その部分を直している。これでかなりよくなったと思うので、あとは手を動かすのみ。いい作品に仕上げたい。
本日は芦辺拓さんの『大鞠家殺人事件』を遅まきながら読んでいる。明治の香りが漂う文体と、大阪の船場で使われていたという古い大阪弁を、味わうようにじっくりと読む。至福の読書。芦辺さんの作品は読み逃しているものがちょこちょことあるので、今年集中的に読んでいきたい。
2022/05/19 12:07
最近タスクの管理方法がだいぶ極まってきた感じがあり、日々の業務がかなり安定して進行するようになった。要領のいい人は20代くらいでこういうの極めちゃうのだろうけど、まあそうではないので時間はかかる。このところゲラと改稿に追われていて睡眠が足りていないので、ここを乗り切ったら少し休みたい。
呉勝浩『爆弾』途中まで読んだが面白い。ここからクリストファー・ノーランの『ダークナイト』のネタバレをするので未見のかたは読まないでほしいのだが、思いだすのは『ダークナイト』でジョーカーが船を爆破させるかさせないかというシーンのことで、あの映画で一番面白かった(僕的に)シーンをさらに深化・演繹させたような物語である。
『ダークナイト』は名作と言われているが僕はいまひとついい観客ではなく、それはあの船のシーンで大衆の善意がジョーカーの悪意を乗り越えた! みたいなことになったのに、結局最後バットマンが大衆なんて信じられねえぜとあの結論に行ってしまうからである。あそこはやはり善人サイドが犯罪者の船を善人的な理屈と手続きに基づいて吹っ飛ばすべきだったと思うのだが(大衆がジョーカーにバカ負けするからこそ、バットマンの闇落ちでしかジョーカーを倒せないという話になる)、レーティングの関係でシナリオを現場で書き換えたのではないかと睨んでいる。まあ『ダークナイト』はさんざん研究されているだろうから、僕の邪推が的外れだったりしたらごめんなさい。
引き続き仕事。
2022/05/18 17:02
6月刊『風を彩る怪物』(祥伝社)は再校ゲラまで終えて、僕の作業はひとまず完了。この作品はパイプオルガンをテーマにした青春小説で、オルガン工房にも何度も取材をさせていただいた。
僕がオルガンという楽器に着目したのは、2005年にウィーンやらチェコやらを友人と歩き回ってからで、あのときはリンツのザンクト・フローリアン修道院でオルガンのコンサートを聴いた。西欧の教会は異様に天井が高く、球形になっており、そこでオルガンを鳴らすと音が文字通り神の声のように塊となって降りてくる。またオルガンは非常に多彩な音を出すことができ、当時はどういうメカニズムでそんなことをやっているのか判らなかったので、ほとんど神秘体験のようだった。そのときはまさかパイプオルガンについて小説を書くなどと思っていなかったのだが、まあそういう種が発芽して作品になるものです。力作なので売れてほしいところだ。
最近の読書としては、呉勝浩さんの『爆弾』を読んでいるのだがこれが面白い。まだ序盤。呉さんはもう誰も真似できない「呉文体」みたいなものを作り上げていて、本当に素晴らしいと思う。
映画『シン・ウルトラマン』も見た。僕はウルトラマンはよく知らないのだが、脚本が本当によくまとまっていて、怪獣との連戦で進んでいくのだか常に一本のストーリーラインが中心に存在するので、見ている側が戸惑わない。胸と目頭が熱くなる、立派なエンターテインメント作品に仕上がっていた。
2022/04/26 05:01
昨日は日本推理作家協会賞の選考会があり、僕の作品「スケーターズ・ワルツ」が短編部門を頂戴した。賞をいただくのはデビュー時の横溝正史ミステリ大賞以来であって、推協賞はいちミステリファンだったころから大好きな賞だったので大変嬉しい。いやあー、とても嬉しい。
「スケーターズ・ワルツ」はもともと賞の遡上に上げていただく前から僕にとっては特別な作品で、作品の完成から発表、昨日の受賞に至るまで、一年以上もずっと不思議な流れを感じている。この辺はおいおい、受賞の言葉やら日記やらで書くかもしれない(ちょっと気軽に書けないことが多いのです)。ただまあ点々と起きた事象を勝手につないで都合のいいストーリーに仕立て上げ、悦に入るということだけはしないようにしたい。フィクションの書き手として、現実を手前勝手にフィクション化して解釈するのはよくないと思っているからである。奇縁は奇縁のまま、そこにフィクションを上乗せすることなく、自分の中に置いておきたいなと、そんなことも思っております。
とはいえ今後より良いものを書けるように邁進していきたい。自分を押し上げてくださったすべての皆様に感謝です。
2022/04/22 18:39
昨日血管系の手術をしまして、今日は終日引きこもり生活。手術も点滴も全身麻酔も初めてで、こんな感じなのかと参考になった。全身麻酔で失神する前に「この麻酔はなんなんですか?」とか取材モードで聞いていたらしく、看護師さんにも笑われてしまった。まあでも行動習慣が作家らしくなれたのかなと少し嬉しくもあった。
6月刊の新刊は入稿し、ぼちぼちゲラを読んでいる。同時並行で8月刊の新刊の改稿をしつつ、その後の企画と初稿の執筆をやっている。とりあえず色々多作してみようかと今年はあれこれ書いているのだが、もうちょっと企画に時間をかけて、書くものの難易度を上げたいなと感じている。まあとりあえずそれは先の話で、当面は日々の仕事をこなしていくのみである。
最近読んだ本としては、朝井リョウさんの『正欲』がとても面白かった。人間の底を照らしだすような心理描写と、明確な謎がないのにページを繰る手が止まらないストーリーテリングの妙に大変感心した。『桐島、部活やめるってよ』『何者』と同じく、コミュニティ内で流れている価値観を相対化し、その価値観を盲信している人間に対し、価値観の外側にいる人間が闘争を仕掛けていくような構造の物語になっているのだが、学校、就活と空間が限定されていた二作に対し『正欲』は我々の社会そのものまで物語空間が広がっていて、より深度のある話になっていると感じた。群像劇を描き分ける筆は冴え渡っていて、どの登場人物にも魅力がある。価値観を盲信している人間も、それが欺瞞だと気づいている人間も、等しく迷いながらなんとか生きている人間であって、フラットな存在なのだと看破していくあたりも見事だと感じた。
2022/03/31 10:33
最近ネット環境がプアな状態が続いていたのだが、ようやく復活したのでまた配信しながらの作業を開始している。0000周りの皆様、よろしくお願いします。
小説推理で連載していた「祝祭の子」が完結。登場人物も要素も多い作品で、最初から長くなる懸念があったのだが、結局原稿用紙1000枚くらいの作品になってしまった。僕はマクリーンやハンター、あるいは船戸与一さんや大沢在昌さん、月村了衛さんなどが書いていた冒険小説・アクション小説のファンで、また総合格闘技がずっと好きで継続的に見ていたため、いずれ自分でもアクションが主体のものを書きたいなと思っていた。ただ男臭いマッチョ世界よりも、どちらかというと人心の機微を描きたいタイプの作家でもあるので、そのへんをどうマージしていこうか考えた結果、少し変わったアクション小説になったと思う。現時点でおかしなところが色々あるので、もうちょっと修正して世に出したい。今年出せるといいのだが、兼業作家だしそこまで時期にはこだわらない。
最近新刊の引き合いが多く、原稿は上がらないのに企画が色々増えている。全くありがたい次第である。最近僕はもっと企画段階から時間をかけて考えて作品を書かねばと思っており、今後難易度の高い作品を色々書いていきたい。少し刊行ペースは落ちるかも知れない。いまでも別に早くはないのだが。
小川一水『天冥の標』第1巻を読んだ。小川さんらしい軽みのある世界ながら起きていることはめちゃくちゃハードで、特に終盤に起きることには驚いた。独裁者がひとりおかしくなっただけで世界はめちゃくちゃになってしまうというプロットや、中盤に出てくる敵艦隊との交戦など、現代の世相とかぶるシーンも多かった。第2巻も早速取り寄せたのだが、単独でも読めるほど全然違う話とのことで楽しみだ。
2022/03/21 22:34
生活がバタバタしていたのだが少しずつ落ち着いている。書いている新しい長編もようやくドライブしてきて、書くのが楽しくなってきた。一気に脱稿したいのだが、もう少しかかりそう。かと思うと改稿依頼がすぐにきてしまう。もっとスピードを上げねばならない。
最近読んだのは田中啓文さんの『辛い飴』。間にジャズの名盤紹介がありつつ、サキソフォンを吹く探偵役がジャズ演奏を繰り広げながら様々な謎を解いていく。日本推理作家協会賞を受賞した「渋い夢」という作品を目当てに読んだのだが、全編いい意味での軽さがありつつ、不可能趣味とジャズの疾走感が両方味わえる短編集でとても面白かった。
少しきっかけがあり、井上雄彦さんの『バガボンド』を読み返している。キャラクターの造形力が素晴らしく、強い人間も弱い人間も等しく魅力的だ。物語は良いキャラクターが出てくるだけで持つものだなと再認識した。
小川一水さんの『天冥の標』を読みはじめた。僕は10代のころ、小川さんが河出智紀名義で書いていた『まずは一報ポプラパレスより』を発売日に買って読んでいる。なぜならこの作品が大賞を取った「ジャンプ小説大賞」に、当時14歳の自分も応募していたからである。そのころから小川さんのことはずっとファンなのだが、『天冥の標』は大作すぎて読むのを敬遠しており、ようやく腰を据えて読もうと思い立った次第。序盤から小川さんらしい芯が強いがいい意味で愛らしいキャラクターたちと、イマジネーションが爆発した世界観が展開されて非常に面白い。少しずつ読んでいきたい。
2022/03/11 18:43
WebサイトのSSLが切れていたので更新した。最近色々と私生活で変化があったが原稿を書く日々。
今村翔吾『じんかん』を読んだ。するするとストーリーが進行していき、このスピード感は自分では色々な意味で書けないなと感じる。何かを語るときに何行で語るのか、これは作家によって様々で、僕はどちらかというと鈍重なほうなのかもしれない。重厚な武将による政治ドラマが繰り広げられる終盤と、どこか少年漫画のような軽やかなテイストがある序盤が違和感なく接合されていて、万華鏡のように読み味が変わる。タイトルも素晴らしい。
辻堂ゆめ『トリカゴ』を読んだ。無戸籍の話については僕も『祝祭の子』という小説を書いていて、井戸まさえさんの『無戸籍の日本人』も読んでいたのだが、フィクショナルな冒険小説として書いた僕と引き換えに、辻堂さんの筆致は丁寧に社会問題をあぶり出していくスタイル。構造的にはミステリではあるものの主眼は無戸籍という社会問題をドキュメンタルにあぶり出していくことであり、社会に問題を投げかける一助となるような誠実な作品だと思った。広く読まれてほしい一冊。
2022/01/22 17:52
なぜ日記を書けないのか。以後もうちょっと書いていきたい。
怠けている間に文庫版『電気じかけのクジラは歌う』が発売。Twitterで小島秀夫さんが取り上げてくださって一時期amaonランキングの上位に入っていた。リアル店舗でも売れてほしいのだが、どうなるか。まあ売上はあまりコントロールできないので、粛々と新作を書くのみ。
その新作は現在絶賛改稿中。初稿ではかなりしっかり書けたと思っていたのだが、よくよく考えてみるとおかしな部分が多く、結局かなりの枚数書き直している。小説を書くのは夢を見ているようなもので、書いている最中はそれが正しいと思って書き進めているのだが、冷静になって振り返るとおかしいということが多い。この誤差が少ない人が多作できる作家なのだろう。僕も多作できるようになりたいのだが、後天的に獲得できるスキルなのか謎である。
自分の文章ばかりを読んでいると自家中毒を起こしそうなので、恩田陸さんの『スキマワラシ』を読みはじめている。恩田さんの文章はお手本のひとつ。読みやすくて香りがある。
2022/01/08 10:20
少し気を抜くと日記を書くのをやめてしまう。今年はなるべく全日日記を書いていきたい。
昨日・一昨日は新作のプロット構築。世界観を詰めるのに時間がかかっているが、今日には終わると思う。長編の改稿も待っているためなんとか今日中に終わらせたい。
合間にプログラマー稼業と、転居先の内見へ。あまり知らない街を延々と歩いたのだが、身近なところにこんな住宅街があったのかという気づきがあり、まだまだ知らないことだらけだなと感じた。
リービ英雄『天路』を読む。チベット旅行の随想を中心に、幼いころに住んでいたアメリカでのことや、日本の新宿でのことなどが、場所や時間軸、言語さえも乗り越えて描かれていく。なんというか〈書かれている〉というより〈塗られている〉という感覚を覚える不思議な小説で、第三編の「文字の高原」のラストでは、主人公の思いや発した言葉が、あらゆる壁を乗り越えて天に昇っていくような光景が見えて、震えた。何かを読んで上手く言語化できない感動を覚えたのは久々のことで、驚いた。
一方、最近はAbemaTVで「しくじり先生」をよく見ている。能力の高い芸人さんのやりとりも素晴らしいし、編集のテンポも素晴らしく、見ていて心地がいい。やはり上手く行かない人ってモチベーションのコントロールや休息方法に問題があるのだなと感じた。自戒したい。
2022/01/06 01:04
あけましておめでとうございます。やはり日記を書いていきたいので備忘録として書いていく。
今日は新企画のプロット作成。プロットは考えていると思っていたのと違う方向に伸びていくので、当初イメージしていたものとはだいぶ異なってしまった。明日・明後日にはまとめられそう。その後は今度出る予定の青春ミステリの修正。
ツイッターで我孫子武丸さんから『電気じかけのクジラは歌う』のご感想をいただいた。僕は新本格ミステリを読みだしたのが我孫子さんの『8の殺人』からなので(その前は父の影響で西村京太郎さんや内田康夫さんを読んでいた)、人生の伏線回収という感じである。ご感想の中に以下のようなものがあった。
〈SFを中心として書く人は「まだ存在しない技術」の部分を新しいアイデアの核として物語を組み立てることが多いように思うが、ぼくはどちらかというと「既に存在する技術で、それが進化したとき社会がどう変わるかを想像する」方に興味がある〉
これは僕も問題意識として持っていたことで、僕は近未来を描いてもSF作家の皆さんのように発想がジャンプせず、現代との地続きである点を探ってしまう。そうしないと作品世界を信じられず、書いていて自分で納得できないからなのだが、突飛な発想を作品内に取り込めないもどかしさも感じていた。今回こういうご感想をいただけて、自分のアプローチを受け入れてくださるかたもいるのだなと感じ、少し芯が安定した感じがした。ありがとうございました。
最近は集中時間をいかに長くするかが課題となっている。かつてゴータマ・シッダールタは菩提樹の下で悟りを開いたとき、煩悩を追い払うために印を結んでいたらしく、今日は集中がぶれそうになったところで印を結んだら長く集中できた。頭を使い切ったときの快感が好きなので、こういう時間を増やしていきたい。
読書は一穂ミチさんの『スモールワールズ』をようやく読んだ。どれも面白かったのだが、特に「愛を適量」という作品が好みだった。相手を喜ばせようと思ってやっていることが、実は単なる自己満足だったというのは僕にも覚えがあることで、身近なテーマをこういう形で現代的なエンターテイメントに昇華する力量に驚いた。重層的で素晴らしい小説。
2021/08/24 16:51
このところ原因不明の体調不良に悩まされていて全然本が読めず。なんとか仕事だけをしている毎日です。もろもろ滞っていてごめんなさい。
2021/04/19 11:23
昨日から原稿をガンガンと書いている。最近調べものの海に潜っていたのでとても楽しい。『祝祭の子』はとにかくトピックが多岐にわたった巨木みたいな小説で書くのが大変なのだが、作家として成長させてもらった感じがしている。去年はちょっとスランプに苦しんでいたのだが、やっとプロの作家になれたかなと思う。この五年で勉強させてもらったので、次の五年は躍進の時代にしたい。
2021/04/18 11:44
このところ調べ物続きで原稿があまり進んでおらず、いい加減巻き返したい。やはりアウトプットをしていないと色々自分の中にものが滞ってしまう。バリバリと書きたい。
「祝祭の子」は2回目の再校ゲラを戻した。登場人物が多いので若干スローモーな立ち上がりかなと思うが、僕が書いてきた小説の中で一番緊迫感のある話だと思うので、たぶん大丈夫かなと思っている。並行して書いているのが来年刊行予定の音楽小説で、こちらは極めて真っ当な青春小説なので書いていて爽やかな気分になる。僕の小説らしく重い展開もあるので、その辺を書くのも楽しみ。今後も色々書きたいところ。
最近友人にTheWeekndという音楽グループを教えてもらってよく聴いている。割とクラシカルなスタイルのファンクネスバンドで、最近の英語圏のポップミュージックというとヒップホップが中心になっている認識だったのだが、こういうのも流行っているのね。
https://www.youtube.com/watch?v=XXYlFuWEuKI
2021/04/05 11:16
勝間和代さんに影響されてオーディブルに登録した。本って読むのが大変だと思うのだが、オーディブルで聞いているとすらすらと頭の中に入ってきて、読書の大変さは目と手を酷使することも大きいのだなと認識した。いまはオードリー・タンの本を聞いている。
2021/04/05 11:14
次作のプロット組みと「祝祭の子」の直しに追われている。ゲラもきた、ひい。
昨日はデヴィッド・フィンチャーの新作「マンク」を見た。フィンチャーらしい隅々まで配慮が行き届いた映像設計で、フィルムのパンチ(?)までがデジタルで再現されていて見ているだけで面白かった。
ストーリーは「市民ケーン」の脚本執筆を巡る物語で、回想パートと現代パートの二視点で語られる。現代パートはマンクがひたすら室内にこもって執筆をする中、色々な人がやってきてマンクと語り合うというかなり地味なパートで、これを面白く読ませるのは大変だぞ……と思いながら見ていた。過去パートはマンクが「市民ケーン」を書きはじめるまでのくだり、ウィリアム・ハーストやMGMとの対立の話が描かれる。こっちのほうはあちこちに移動してダイナミックに見せるのだが、いかんせん回想なのでやはり本質的にリーダビリティに乏しい。こういう難しい題材を最後まで見せてしまうのがフィンチャーの腕だなと感じた。よい映画だった。
2021/04/03 12:51
昨日はプログラミングワーク後、取材と国会図書館での調べもの。最近書くにあたって調べものの量が増えている。よりリアルなシーンが書きたい。調べもののスキルも上げていきたい。
2021/04/01 23:13
今日は新たな編集者さんと打ち合わせ。ブレスト的にわーっと話をしてなんとなくの企画の方向性が決まった。書きたいものが書けそうな予感である。夜は国会図書館へ資料を閲覧に行ったが、時間切れでロクに見られず。コロナで図書館の使用時間が区切られてしまうのが痛い。
『祝祭の子』の改稿の合間に、次に書くもののプロットを固めている。これプロットは通っているのだが、ちょっと甘い部分があってもう一度構築し直している。今年はこの長編ともう一本長編を書いて、短編二つを書けたら御の字という感じ。書くぞー。
執筆のBGMはプーランクのピアノ協奏曲。これは作品に使うかもしれない。
https://www.youtube.com/watch?v=6q0PDy86jHI
2021/03/21 15:08
ツイッターで公募・持ち込みの論争があり僕も見解を書いたのだが、今後はあまりああいうことは書かないでおこうと肝に銘じた。すでに同じようなことをより正確に書いている人が大勢いるし、プロが書くとどうしても志望者のかたへのマウント的な構造になってしまう。正確な情報を得て真面目に作家を目指している人は大勢いて、そういう人たちに僕なんかが言うことはないし、自分の信じたい情報を信じている人には僕が何を言っても意味はない。僕は、小説を書くという僕にとって本質的な作業にリソースを使うべきで、不毛なことをやる時間を減らしていきたい。
2021/03/17 21:31
連載『祝祭の子』の初回ゲラを送付した。この連載はもう原稿をあらかた書き終えてしまっており、いまは大幅な改稿を入れつつ連載していくというスタイル。僕にしか書けない物語になっていると思うのだが、はてさて。
最近は対面取材を意識的に入れていて、週一くらいで人の話を聞いている。もっと取材が上手くなりたい。
2021/01/14 13:15
長編はあとクライマックスを書くのみ。もう一度改稿して編集者に出す。大変な難産だったが果たしてどうなるか。
2021/01/07 16:21
あけましておめでとうございます。東京はコロナ禍で大変な状況になってきた。僕は夜にファミレスで原稿を書いているので(家では集中できない)、仕事面でも立て直しが必要な状況です。いやはや。
最近は長編原稿にかかりきりになっており、いまはようやく最終局面。1000枚超えになりそうだったのが、改稿で削って850枚くらいに収まってきた。もう少し削ってシャープにしたい。もう半年近く延々と書いているので、これが終わったら少し休みたいところです。
2020/09/10 10:22
ほったらかしにしていた著作リストを更新。もっとどんどんと増やしていきたいなー
2020/08/28 12:34
作品を書くときに気分を盛り上げるためにテーマ・ソングを勝手に決めているのだが、『空想クラブ』は小沢健二の「流動体について」とドリームズ・カム・トゥルーの「LOVE TIDE」をよく聴いていた。連続アニメにしたときの、前者がオープニングテーマ、後者がエンディングテーマという感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=FlbpXqTOCns
https://www.youtube.com/watch?v=bzhQIi9pM-Q
作品を読まれたかたはぜひ聴いてみてください。
2020/08/28 12:29
1ヶ月ぶりの更新。この間に色々あって、主にプロット地獄で毎日苦悶していた。
プロットというのは難しくて、プロットを面白くしすぎると原稿時には展開が多くなりすぎて、キャラクターが展開を消化するコマのようになってしまう危険性がある。かといって平板すぎると「何が面白いのこれ?」となって企画が通らないこともあり、いまだに悩ましい。小説のような複雑なものを頭の中でだけで考える難しさもある。この作業が複数社で並行して進んでいたので頭が爆発しそうな一ヶ月であった。
と悩んでいてなんとかプロットを出し、修正すればイケそうというところまでこれたので、少し安心した。ふう。
そうこうしている間に新刊『空想クラブ』が発売。僕は暗めの小説を書くことが多いと思うのだが、これは爽やかな小説で、最後は若者たちの爆発するような青春を描きたいなと思って書いた。市場でも頑張ってきてもらいたいものである。
2020/07/19 15:29
うーん色々と悩ましい
2020/07/14 14:24
短編のプロットを書いている。いいものになりそうだがどうだろう
2020/07/10 23:16
定期的に昔読んだ面白かった小説を読み返している。いま読むとより分析的に読めるので、新しい発見があって面白い。
米澤穂信さんの〈ベルーフ〉シリーズが好きで、『真実の10メートル手前』『王とサーカス』の順に再読。読んだ当時はアマチュアで、まだストーリーの起伏やらミステリとしてのびっくりと言った飛び道具的な部分にばかり目が行っていたのだが、いま読むと主人公の太刀洗万智を中心にじっくりと人間ドラマが描かれていて堪能・堪能・大堪能。
『王とサーカス』はひとりの女性の煩悶と自立を描いた静謐な人間ドラマであると同時に、実在の事件のドキュメントでもあり、それが徹頭徹尾本格ミステリのフォーマットで描かれる。もう、離れ業という感じ。『真実の10メートル手前』は万智の活躍を次々と読める短編集で、どの作品も仕掛けがあってこちらも堪能。読者によってフェイバリットが違うだろうなと思わされるほどバラエティ豊かな作品群で、僕は特に「名を刻む死」にやられた。短編ってこんなことできるんだと改めて驚いた。
こうなると『さよなら妖精』も読み返したくなる……。
2020/07/03 11:54
新作長編は書き終え『空想クラブ』のゲラ直し。いい作品だと思うのだが市場ではどうなるか。
最近色々とあり後ろ向きな気分。
2020/06/22 22:51
新作長編は500枚を超え、あと50枚くらいか。初稿はやはり駄目だな。駄目駄目。書き直してよくしていきたい。
2020/06/18 15:40
最近多忙で原稿を書けていなかったが今日は書いている。新作長編は470枚くらい、初稿はたぶん550枚くらいになりそうなので来週の月曜日には書き終えたい。ライトSFよりの大人の青春小説ミステリといった趣か。これが終わったらちょっと深めの取材をして、年内に長編をもうひとつ上げてしまう予定。短編もひとつ書く。
2020/06/11 00:53
新作長編は400枚を超え、終盤。相変わらずサブプロットがもりもりなので終盤になると展開が多くキツくなる。あとから調整すればいいやと思い、書き進める。初稿はたぶん550枚くらい、詰めて500〜520枚くらいにしたい。
辻堂ゆめさんの『あの日の交換日記』を読む。辻堂さんらしい暖かいミステリで、隅々まで技巧が冴え渡っていて、その技巧が登場人物たちのドラマと不可分になっていて小説的な深みを与えている。考え抜かれた見事な作品で、とても面白かった。しかしぼくは分析的な人間なので、面白かったと書く際にも変に構造的な話になってしまうのがよくない。
そんなさなか、プロットが一本通った。これは下半期に書く予定。意欲作である。
2020/06/06 21:55
書くことでしか進めないのだ。
2020/06/06 14:55
プロットを一本送付。次のゲラがくるまで2週間くらいあるので、一本長編を書き上げる予定。これはボツになるかもしれないのでちょっと不安ではあるが……
2020/06/05 20:44
新刊『銀色の国』発売。無事にリリースできて嬉しい。
さらに来週は文庫版『少女は夜を綴らない』が出る。2週間空けての連続刊行という感じでバタバタである。
新作1は6月中には書き終わりそう。今年は年内にもうひとつゲラがあるのでそれをやりつつ、下半期は新作2に全力投球の予定。あとは短編を書くかもしれない。
2020/05/24 11:16
新作1の執筆、新作2の資料読み、長編のゲラ作業などを粛々とやっている。しかし寒暖差が激しく身体が疲弊気味。
2020/05/23 10:00
一ヶ月くらい何も書いていなかった。日記を目指しているのでできれば毎日書きたい。
最近は新作の執筆と、某長編のゲラ作業。秋にさらなる新作を書く予定で、これは勉強がかなり必要な題材なので資料をひたすら読んでいる。新作『銀色の国』は製本作業が終わり、見本をいただいた。『少女は夜を綴らない』はもろもろ手術を行い無事に責了。カバーもいただいたが素晴らしいものだった。
最近の読書としては隙名ことさんの『秋葉原オーダーメイド漫画ラボ』を読んだ。漫画家として挫折した主人公が、わけありのオーダーメイドな漫画を作る会社にスカウトされて奮闘する物語で、秋葉原の風景なども出てきて大変楽しかった。シリーズ化してほしい。秋葉原は昔住んでいたこともあり、色々懐かしい場所を思いだした。いまは資料読みの合間にジョン・アーヴィングの『ガープの世界』を読みはじめている。西加奈子さんの『サラバ!』が大好きで、それに似たテイストの作品のようなので楽しみだ。
コロナ禍で毎日が仕事仕事で漫然と過ぎていくせいか、時間の進みがやけに速い。
2020/04/20 18:24
相変わらずコロナ禍が収まらず、ついに僕の仕事にまでダイレクトに色々な影響が出はじめているのだが、こんな状況でも粛々と目の前の仕事をこなすのみである。幸い文筆もプログラミングもリモートでやることができる仕事。仕事の場すら奪われてしまった人が大勢いるのだから、自分が頑張らないでどうするという心境。
そんな中、『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザーPARTⅡ』を久々に見た。連続ものだが映画の内容としては全く違うもので、『ゴッドファーザー』はプロットが非常にシンプルなのに180分間ずっと面白い。PARTⅡは人間関係も起きる事象もかなり複雑になっているが、そのカオス込みで楽しませてくれる。好きなのはⅠのほうなのだが、双方素晴らしい映画だと思った。
読書のほうはコリン・ウィルソンとその息子が書いた『殺人の人類史』を読んでいる。これも面白い。殺人という切り口から人類史を俯瞰していくノンフィクションでキューブリックの『2001年宇宙の旅』や佐藤究さんの『Ank: a mirroring ape』などを想起させる知的面白さがある。スティーヴン・ピンカーの本も買ってしまった。読む時間があまりないのだが頑張ってインプットする。
2020/04/16 16:11
『銀色の国』再校ゲラを提出し、これでほぼ作業は終わり。良い結果になることを祈るのみ。
『少女は夜を綴らない』文庫版のゲラ作業と、新しい長編小説を書きはじめている。書きはじめは手探りで行きつ戻りつ、物語がドライブするのを作者も待っている感じ。
篠田節子先生の『仮想儀礼』を読む。めちゃくちゃ登場人物が多い群像劇ながら、全員が生き生きと描かれていてものすごく多層的な小説世界が構築されている。それでいて読みやすく、徹頭徹尾エンターテインメント。すごい作品だ。
2020/04/12 15:58
世相がどんどん暗くなっていく。ただ自分にやれることをやるのみ。
2020/04/08 22:16
長編の改稿を送付し、『銀色の国』の再校ゲラ。の傍らに、久々に新しい長編を書いている。真っ白なキャンパスに文字を刻んで作品世界を切り開いていく感覚、何度やっても不安定で少し怖い。
しかし世間はコロナ禍がとどまるところを知らず、ついに緊急事態宣言が発令、東京都下の店舗は軒並み営業縮小か臨休へ。書店もしまっているところが多く、書店員さんの身の安全を考えると妥当だとは思うが、本が出たばかりの作者の心境を考えると胸が痛む。早いところこの騒動が収まってくれることを願いたいし、何より体力のないところは自治体による手厚い保障が欲しい。
そんな中、かわいいイヤホンを買った。AG-TWS02のグリーンモデル。本当はこの下位機種のAG-TWS03が欲しかったのだが、これは大人気機種につき一ヶ月以上待ったの入荷せず、仕方なく02を購入。音質も嵌め心地も大変よく、ミュージックライフを楽しめそうな気がしている。
2020/04/03 08:18
引き続き長編改稿。山場なので寝ても覚めてもそのことばかり考えていて、たまに自分の住む場所が現実なのかフィクションの中なのか判らなくなる。懸念はだいぶ潰したので、あとは書くのみ。
今日のBGMはヴェンゲーロフのベトコン。
https://www.youtube.com/watch?v=gIdqiis3Mts
2020/04/02 17:45
久々の日記。ゲラ地獄は終わり、プロットの提出もひとつ終わり。現在は別の長編の改稿中。これが終わったら『銀色の国』『少女は夜を綴らない』の再校ゲラが届くのでそれをやり、プロットをもう一本。そのころにはまた別の長編の初稿に取りかかれそう……というスケジュール。
しかしコロナ禍が凄まじく、僕も現在はほぼ在宅ワーク。作家業とプログラマー業というのはとてもよい仕事で、在庫リスクも固定費もないため不況がきても即倒産ということがない。しかも作家業はまかり間違ってヒットが出ればスケールもするという、労働集約型の仕事からは考えられないすごい仕事である。一方、固定費のかかる音楽業界や飲食業界は大変な苦境で、ミュージシャンや飲食の友人は苦しんでいて大変そうだ。遅くとも今年いっぱいくらいでワクチンや薬が整備され収まると思うので、あと一年なんとか凌いでほしい。普段の生活が戻ってきたら、大勢友人をつれていくので。
今日のBGMはショスタコーヴィチの『バビ・ヤール』。
https://www.youtube.com/watch?v=YOmfNobfeqw
2020/03/09 19:22
『銀色の国』ゲラ、『少女は夜を綴らない』ゲラで忙殺されている。起きている間は基本的にプログラマ仕事かどちらかの作業をしていて煮詰まり気味。これが終わったらプロット2本を書いて別の長編の直しと、作家らしい生活になってきた。とにかくいままでは直しが多く刊行ペースが悪かったので、ここらでぐいんとスピードを上げたい。
しかし世間はコロナ禍がますます激しく、日本も大変だが西欧に飛び火して株価などえらいことになっている。増税ショックのあとにさらに大変なのがきて、焼け野原が戻るまでには時間がかかりそうだな。リーマン・ショックの惨禍を見てきたので、もう一度あれをやるのかと思うと気が重いが、まあやるしかないですわな。明けない夜はない。
『ミッドサマー』はまだ見ていないというか、万一コロナに感染したら仕事が詰むので一応自粛している。サウナに行くのが好きなのだがそれもいけない。早く収まってほしい。
音楽はビリー・アイリッシュの新譜、"No time to die"を最近よく聴いている。007のテーマソングはSkyfallからこちら似たようなテイストの曲ばかりなのだが、これはビリー・アイリッシュの美声と相まって聴いていて切なくなる名曲。"Bad guy"のようなポップなものだけではなく、こういうバラードも歌えるところに歌手としての底力を感じる。
https://www.youtube.com/watch?v=GB_S2qFh5lU
2020/02/29 21:44
世間は新型コロナ禍でえらいことになっている。ぼくが参加する予定だった公私いくつかのイベントもすべて飛んでしまった。4月にプライベートで久々に演奏会に出るのだけれど、それは果たして開催できるのか。これがなくなると楽器を吹く予定が全部飛んでしまう。
そんな中、風邪を引いてしまい少し倒れていた。熱は38度まで上がったのだが一日で引いたため新型コロナではない模様。ただ胃痛が残ってしまっていて食事が充分に取れず、数日寝込んでいたため体力的にもかなり削られている。今日は階段を上がるだけでつらかった。
現在は新作長編のプロットの作成と『銀色の国』『少女は夜を綴らない』のゲラ作業が平行して進行。事前では3つもあると頭の切り替えが大変な気がしたが、意外とそんなことはない。マルチタスクに向いているのかもしれない。これが片付いたら別の長編の改稿と、プロット修正がふたつ。なんだか作家らしい生活である。
そんなこんなで読書がはかどっておらず今週はインプット周りが壊滅的。そんな中、染井為人さんからいただいた新作『正体』を読み進めているのだが、これがめちゃくちゃ面白い。盛り上がる箇所は言うに及ばず、平場のなんでもない部分でさえもぐいぐい引き込まれる小説で、500ページ近いのに長さを全然感じない。登場するキャラクターがことごとくいい。すごい筆力、文章力、キャラクター造形力。
映画は『ミッドサマー』を早く見たいのだが時間がなく来週回しか。
2020/02/22 17:09
順調にいくと9〜10作目になる長編のプロットを制作中。
プロットは難しいもので、プロットを面白くしようとしすぎると必定展開の数がもりもりになって、登場人物がコマのようにプロットに動かされるピタゴラスイッチみたいな話になってしまう。そうなると一番大事なキャラクターの心情などを書き込む余白がなくなってしまって、どうにも作りものめいてしまう。余白を上手く練り込みながら、仕上がりを考えてプロットを考える必要があって、最近ようやくこの手の作業ができるようになってきたなという感じ。
難しいのはピタゴラスイッチ的な小説、展開やどんでん返しがひたすら乱打される小説を面白く感じる人というのも一定数いることだ。もちろん小説の読みかた、引いては読者の感性に上下などあるはずがなく、そういう読みかたを否定するつもりは毛頭ない。あくまで僕の感性として、登場人物の心情を丁寧に描いた作品が好きというだけで、読みかたに貴賤はない。僕なりのプロットの作りかたを習得しつつある過程というだけで、ほかの作者のかたはまた違った書きかたをしているのだろう。書きかたも読みかたも多様で自由なのが、フィクションの豊かなところだと思っている。
2020/02/20 23:58
カフカの短編集を読んでいる。
カフカを読むというのは追いかけっこに似ているなと思っていて、抽象的な物語に対し意味を解釈しようと思えばできるのだけれど、そうすると物語の芳醇さが一部落ちてしまうような感じがする。物語世界を物語世界のまま丸ごと受容すればいいのかもしれないし、実際にカフカが紡ぐ物語世界はヘンテコで綺麗で魅力的なのだが、そういう読みかただとあまりにもぼんやりしてしまう感じがする。カフカを読むこと自体が、いつまでもたどり着かない城に向かって歩いているような、そんな不思議な感覚。私は『掟の門』『流刑地にて』あたりが好きです。
2020/02/20 00:03
今日の作業は『銀色の国』『少女は夜を綴らない』のゲラ直しと、プロットの制作。毎日パラレルでじりじりと進めている。
2020/02/20 00:02
須賀しのぶさんの『革命前夜』を読んだのだけどすごい面白かった。重厚な歴史小説・音楽小説でありながら大変読みやすく、何よりエンタメのケレンと魅力が隅々まで行き渡っているのにしびれた。そして登場するキャラクターがいいヤツ嫌なヤツ含めて全員魅力的で、膨らみがある。本当に素晴らしい小説だと感じた。ほかの作品も読まないと。
2020/02/19 00:59
最近はプロットの作成、五月に出る新刊『銀色の国』のゲラ直し、六月に出る文庫版『少女は夜を綴らない』の直しの三本立てで進めている。ぼくはパラレルタスクは割と得意なほうで、ひとつのものを根詰めてやるよりも飽きたら別のタスクに逃げられるほうがトータルでは作業が進んでいく。よりよいものにして読者の皆様の前に出したい。
2020/02/19 00:57
須賀しのぶさんの『革命前夜』を読んでいるのだがめちゃくちゃ面白い。知識量がすさまじくて打ちのめされてもいる。勉強しなくちゃなあ。
2020/02/11 16:18
仕事がちょっとハードになりつつある。体調管理に気をつけないと。
2020/02/10 23:43
文庫になる際に手直しをするため『少女は夜を綴らない』を読んでいる。3年前の作品だけれど、いまの自分には書けないなと思うところも多い。いま書いている作品も、3年後の自分には書けなくなっているのだろうな。
2020/02/10 23:42
MacBookのOSをようやくcatalinaにアップグレードしたら、PHPStormとOfficeがライセンス切れで一気に使えなくなってしまい、双方書い直す羽目に。どちらも使いやすくなったのでいいのだけれど、PHPStormはこれサブスクリプションになったのね。買い切りにしてくれるといいのに。定額サービスに加入しすぎていて請求が怖い。
2020/02/10 23:40
最近の執筆のお供はブルックナーの交響曲第2番。ブルックナーはトランスミュージックの側面もあるので仕事のお供に結構向いていると思う。
https://www.youtube.com/watch?v=cSCPFVMHtCs
2020/02/06 10:24
企画書をひとつ送付した。最近企画書ばかり書いていて原稿を書いていない。腕がなまらないように勝手に何かを書いていようかと思っている。
2020/02/04 17:55
劉慈欣の『三体』を読みはじめているのだがこれは本当にすごいな。いままで読んだあらゆる小説の中でも上位に食い込んでくるくらい面白い。衝撃を受けている。
2020/02/03 10:18
この三日間新しい長編のプロットがまとまらずにひたすら悶絶していたのだけれど、ようやく曙光が差してきた。まだまだ先は長いが乗り越えていきたい。